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フランチャイズ契約で失敗しないために:公取ガイドラインを読むという最初の一手

フランチャイズを検討する際に最初に取り組むべきことは、契約書の確認でも、展示会への参加でもありません。まずは、公正取引委員会や日本フランチャイズチェーン協会が公表しているガイドラインに目を通すことです。これが、加盟者としての“武装”であり、もっとも効果的な自己防衛手段となります。

展示会に参加し、説明会で熱のこもったプレゼンを受け、モデル店舗を見学して「これならいける」と感じる。こうしたプロセスを経て、気持ちが高まったまま契約書にサインをしてしまうケースが多く見られます。

「聞いていた話と違った」
「こんな制約があるとは思わなかった」
「本部が全く支援してくれない」
こうした声は、決して珍しいものではなく、業界内では“あるある”のトラブルです。

それでは、どうすればこうした失敗を防げるのでしょうか。
その答えは明確です。契約書よりも先に、公的なガイドラインを読むことです。

これらのガイドラインは、契約書には書かれない“本音”やリスクがにじみ出ている数少ない資料です。事業の多角化を考える経営者にとって、まず読むべきはこの一冊だと言えるでしょう。判断の軸は、すでに提供されています。あとは、それを使うかどうかだけなのです。

目次

加盟検討の初動で、すでにミスっているケースが多すぎる

フランチャイズという言葉に惹かれて展示会へ足を運び、収益シミュレーションに目を奪われ、モデル店舗を現地で確認した上で「これなら自社でもできそうだ」と思う。だが、その流れには決定的に欠けているステップがある。それは、「契約という地雷原に入る前に、地図を手にしているか?」という確認だ。

多くの企業が初動でハマる。つまり、一番最初にやるべきことを後回しにしてしまう。説明会での“いい話”に惹かれたまま契約に突入し、あとになって「これは聞いてなかった」「そんな前提だと思わなかった」と騒ぐ──これは加盟者の責任である。なぜなら、ガイドラインも法律も、最初から公開されているからだ。

学科を飛ばして路上に出るな

車校で言えば、学科教習をすっ飛ばして、いきなり路上に乗るようなものである。事故るのは当然だ。契約とはそういうものだ。とりわけフランチャイズ契約は長期に及び、解除も一筋縄ではいかない。途中解約には違約金が発生するし、再加盟には更新料がかかる場合もある。

そのすべてを、「本部の説明任せ」にしているようでは、経営判断の名が泣く。まずやるべきは、加盟希望者としての基礎知識=法的ガイドラインの読解である。

フランチャイズ本部はすべてが“善”とは限らない

立派なパンフレット、魅力的なブランド、現場の熱意。だが、そのすべてが加盟後も持続する保証はない。実際、PL(損益計算書)通りにいかない、更新料が法外に高い、本部の支援が名ばかりで実態がない――こうした声は公取委の調査資料にも明記されている。

“善意”で語られた説明が、“現実”に変わる過程で、情報の非対称性が露呈する。加盟者の無防備さにつけ込むのは、本部が“悪”だからではない。むしろ、それが「業界の慣習」であり、「制度の不備」であり、そして何より、「確認しない加盟者が多すぎる」という市場構造の問題なのだ。

ガイドラインは、フランチャイズ契約の“虎の巻”である

契約書を開く前に読むべきものがある。それが、公正取引委員会の「フランチャイズ・ガイドライン」、そして中小小売商業振興法に基づく事前開示義務の一覧である。

これらの資料には、本部が何を説明すべきか、どこまで義務があるか、そして何を“してはいけないか”が克明に書かれている。それも、加盟希望者向けに無料で公開されているのだ。

中小小売商業振興法が守ってくれるもの

この法律は、小売・飲食などを中心に、本部が事前に提供すべき情報を明確に規定している。

  • 売上や利益のモデル
  • 店舗の直近3年分の実績
  • 契約更新・解除の条件

これらの通り、「あとから揉めそうなこと」の大半は、最初から説明されるべき内容として定められている。加盟希望者は、「説明されなかった」と嘆く前に、「説明されるべきこと」を知っておく必要がある。それが、契約書の“読み方”の土台となる。

独占禁止法で読み解く「良い本部/悪い本部」

公正取引委員会のガイドラインでは、本部の行為がどのように独占禁止法に違反し得るかが具体的に例示されている。たとえば:

  • 予想売上や収益を示す際の根拠があいまい、または存在しない場合は「ぎまん的顧客誘引」
  • 更新料や違約金の明示が不十分な場合は「不当な取引方法」
  • 経営指導が名ばかりで、内容や頻度が説明されていない場合も開示義務違反の疑い

これらはすべて、事前にチェック可能な項目である。つまり、リスクは避けられる。本部に落ち度があるのではなく、「読まなかった加盟者」が後手を踏むだけなのだ。

「再生できない契約」に潜む落とし穴

フランチャイズにおける最大のリスクのひとつは、一度入ると抜け出しにくい構造にある。再加盟時の高額な更新料、競業避止義務による他ブランドへの転用禁止、営業の自由を奪う条項…。これらはすべて、契約書の中に隠れている。

「一度契約したら、死ぬまでそのフォーマットでやれ」

そんな制約があること自体が問題なのではない。その制約の存在を知らなかったことが問題なのだ。

契約書を読む前に、ガイドラインを読むべき理由

多くの経営者は、契約書を「最後の確認書類」だと思っている。しかし、フランチャイズにおいては逆である。契約書は“検査すべき対象”であり、その基準を知っていなければ検査そのものが成立しない

公正取引委員会やJFAのガイドラインには、加盟希望者が確認すべき項目が一覧化されている。たとえば:

  • 売上予測の根拠
  • ロイヤリティや広告費の計算方法
  • 契約解除時の条件と違約金
  • 営業の自由、競業避止義務の有無
  • 経営指導の実態と費用負担

これらはすべて、“契約書で説明されるべきこと”である。だが、説明がないケースもある。いや、むしろ「説明がない」ことのほうが普通だ。

だからこそ、「説明されるべきこと」を知っているかどうかが分水嶺になる。知っていれば質問できる。知らなければ、そのままサインするしかない。

ガイドラインは、加盟希望者のために用意された“質問リスト”である。

しかも、無料で、ネットで、誰でも読める。

ならば、初手で一読しておかない手はないのだ。

まとめ

フランチャイズとは、美しく設計されたビジネスモデルを“借りる”行為である。だが、その構造の美しさに見惚れるあまり、仕掛けられた“契約の罠”を見落とす経営者は多い。

本部は加盟者を顧客として扱わない。ビジネスパートナー、つまり「対等な契約相手」として扱う。その結果、情報は一方的に提示されるだけで、交渉も保証もない。すべては、加盟者側のリテラシー次第。

だからこそ、契約書を開く前に、ガイドラインを開くことが必須である

独占禁止法は加盟者の盾であり、振興法は道しるべであり、JFAの指針はリスクのレーダーである。これらを知らずして契約に臨むのは、夜の海を灯りなしで航海するに等しい。

情報は、武器である。

無知は、コストである。

そして、契約とは戦場である。

その前提に立てるかどうかで、フランチャイズ経営の“勝敗”はすでに決まっている。

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